2018年度第1回研究例会のお知らせ

2018年度第1回研究例会の詳細が決まりましたので以下のようにご案内いたします。奮ってご参加ください。

日時:2018年6月24日(日)13:30~16:50(13:00受付開始)

場所:早稲田大学8号館3階305会議室

早稲田キャンパス

参加費;会員:無料  非会員:1000円  学生非会員:500円

スケジュール:

13:00 受付開始

13:30~14:20 研究発表(1)(発表40分+Q&A10分)

発表者:橋内 武(桃山学院大学)
タイトル:法制史におけるハンセン病の名称
要旨:
 ハンセン病は、古来遺伝病ではないかと考えられ、病者は様々な卑称で蔑まれてきた。
旧称の「癩」という漢字は、病ダレに頼ると書き、他者に頼らなければ生活が成り立たないことを意味した。病変した皮膚の色から、「白癩」か「黒癩」に区別された。「くされ」「かたい」「かったい」「どず」「なりん坊」「非人」という卑称もあった。遺伝性があるという民間知識から、「癩筋」「業病」「天刑病」とも称されたが、これらはすべて偏見に基づく蔑称である。
 ドイツ語ではLepra, 英語ではreprocyという病名が一般的であった。だが、1873年にノルウェーの医学者Dr. Armauer Hansenによって癩菌が発見され、1897年開催の第1回世界癩会議でこの疾患は「癩菌を病原菌とする慢性伝染病である」ことが正式に認知された。 それゆえ、20世紀半ばには「ハンゼン氏病」とか「ハンセン氏病」と呼ばれたりした。現在の正式名称は「ハンセン病」(Hansen’s disease)である。
 法制史上は、癩豫防二関スル法律(明治四十年三月十八日法律第十一号)と癩予防法(昭和六年四月二日改正 法律第五十八号)では「癩」を用い。昭和二十七年(1952年)には全患協が「癩」の呼称を「ハンゼン氏病」に改め、患者の人権を重視する方針を決定した。ところが、「らい予防法」(昭和二十八年八月十五日施行 法律第二百十四号)には全患協の提案が活かされず、その「附帯決議」の八に「病名変更については十分検討すること」としただけである。平成8年(1996年)の「らい予防法の廃止に関する法律」施行により、「国が設置するらい療養所」がようやく「国立ハンセン病療養所」に変更された。強制隔離廃止や病名変更に43年の長きを要したことは、立法府の不作為と言えるであろう。

14:35~15:25 研究発表(2)(発表40分+Q&A10分)

発表者:木場修司(早稲田大学大学院法学研究科博士後期課程)
タイトル:BrexitとEU法上の言語制度決定手続
要旨:
2017年3月29日、イギリスは欧州連合(European Union, EU)条約50条に基づき、EUからの脱退を欧州理事会に通知した。イギリスのEU脱退(Brexit)がEUの法や政治に与える影響について多くの分析や議論が行われているが、本報告は、EUの言語制度に対してBrexitが与える影響に着目する。
 Brexitの法的効果として直ちにEUの言語制度が変更される、例えば、英語がEUの公用語でなくなる、という事態は生じない。その理由は、EUの言語制度を決定するに当たって、EU法が全構成国の同意を必要としているからである。
 本稿は、EU法上の言語制度決定手続について、Brexitとの関係で問題を整理し、現行制度を分析及び評価する。評価に際しては、構成国が決定権を独占している現行制度に対し、言語を使用する個人としてのEU市民が決定手続に参加すべきではないか、との視点から議論を展開する。

 
15:40~16:40 研究発表(3)(発表50分+ディスカッション10分)

シンポジウム
全体タイトル:法曹と研究者・研究機関の連携による司法通訳問題への取り組み
全体要旨:
裁判員制度導入や捜査の可視化などの司法の現場での改革の波とともに。司法手続きにおける通訳の質の向上も、法曹三者の関心事になってきている。これは従来のような通訳制度運用の観点からの関心にとどまらず、「通訳の正確性」という意味で、言語・コミュニケーション上の問題にも、その関心の範囲が広がっていく傾向にある。そんな中で、近年、法曹と研究者、研究機関との連携による様々な活動が見られるようになってきた。そのようなコラボレーションは、双方にとって啓蒙的であり有益な成果をもたらすと考えられる。
本シンポジウムでは、このような活動についての事例報告を行うとともに、今後の活動の可能性や望ましい方向性について議論する。

モデレーター:水野真木子 

発表者① 寺田有美子(大阪弁護士会)
タイトル:通訳者と法曹の相互理解と協働
概要:
日本弁護士連合会では、断続的に要通訳事件に関する研修やシンポジウムを実施してきたが、近年、新たな取り組みとして、弁護士のみならず司法通訳者や研究者も対象者とし、通訳者と法曹の相互理解に資するテーマを取り扱った研修等を開催するようになっている。たとえば、法曹に対しては、訳しづらい言い回し、表現に関して注意を喚起し、通訳者に対しては法曹がなぜ訳しづらい言い回しをするのか、なぜ正確な通訳が重要なのかといった点について説明する等の試みである。新たな取り組みを通じて見えてきた、法曹関係者の言語や通訳に関する意識の変化、相互理解の協働とメリットについて報告する。

発表者② 内藤稔(東京外国語大学)
タイトル:「社会連携の枠組みを通した司法通訳人材育成の取り組み」
要旨:
昨今の社会的要請を受け、東京外国語大学では、主に卒業生を対象とした「言語文化サポーター制度」を立ち上げ、外部機関との社会連携の枠組みを通し、司法通訳を含む、様々なコミュニティ通訳の現場で活動する機会を提供している。本発表では、東京地方検察庁と協働して実施している取り組み事例を紹介し、中長期的な人材育成の観点から今後の司法通訳分野における社会連携のあり方を探る。

発表者③ 水野真木子(金城学院大学)
タイトル:科研費プロジェクト「法廷での法律家の言語使用と通訳由来の言語的変容及びその影響についての研究」の成果に対する法律家からのフィードバックについて
要旨:
要通訳裁判で尋問や質問において法律家が注意すべきことを、法律家と通訳者の協力を得て1冊の冊子にまとめた。これを、弁護士を中心に法律実務家に配布し、内容についてのアンケートに回答していただいた。本発表では、冊子の内容の紹介とそれについての法律家の評価についてまとめたものを報告する。

16:40~16:50 連絡・報告事項など 

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